2011-03-28
■ 松尾捨治郎校註『あゆひ抄』おほむね下(2)
又曰、事はみな[う]ぬき(緯)を[すゑ]とす(註一)。これを[うすゑ]・[くすゑ]・などいひつけたり。[有名](二)[ありさま]は、[り]もじを末とす。たゞし[ありさま]はにもじを末とするやうもあり(三)。[しざま](四)[しきざま](五)は、[し]もじをすゑとす。[かへしざま]は、末・靡・なきゆゑに左のかたがきにはぶけり(六)。
私云、常に用たる目やすもじ(七)あり。
事 こと 孔 ありな 伏 さま 芝 しざま
鋪 しきざま 在 ありさま 本 もと 末 すゑ
引 ひき 靡 なびき 靡伏 なびきふし 往 きしかた
目 めのまへ 來 あらまし
これら也。よみしりておくべし。
註(一) 動詞は、皆う列を終止形とする。 (良變はい列が終止形であるけれども、成章は之を狹義の動詞外に見て居る。)
(二) 良行變絡、ありなとよむ、又孔ともかく。
(三) なり活は遙かに・稀に・などにを終止とすることもある。(中止法に用ゐる意か。)
(四) 久活形容詞。
(五) 志久活形容詞。
(六) 形容詞の一種のかへしざまは終止形・連體形・が無い故、左の表には之を省いた。
(七) 符號。