国語史資料の連関

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2007-12-02

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文の詞を歌によむ事

同じき雅言《ミヤピゴト》の中にも、文章に用ひて、歌にはよむまじきも多し、たとへば ふみをやるなどいふことは、雅言ながらも、歌にはよまぬ詞なり、すべてふみのことをば、古のよき歌共には、水ぐき 玉づさ 跡などのみよみて、ふみといふことは、或は まだふみも見ず天の橋だてなどやうに、橋を踏ゆく事などによせてこそよみたれ、たゞにふみとは、をさ/\よまざりき、又答へすることを、いらへといふは、文章には常のことなれども、古のよき歌には、をさ/\見えず、歌に多くよむは、近き世の事也、大かた此たぐひいと多かるを、今はえしもあげず、みなもらしつ、なずらへてわきまふべし、物語の語をとりてよむにも、此こゝろえあるべき事にて、文章にてはめでたき詞も、歌によみては、いやしきがあるぞかし、又同じ言も、文と歌とにて、いひざまつゞけざまのかはるべきもおほし、しかるを近世人は、すべてこれらのわきまへなく、歌にはよむまじき詞を、好みよみて、それをかへりてめづらしくおかしきことに思ふめり、大かた近き世、すべて戀の歌の、殊につたなくいやしげなるも、おほくは此ゆゑ也、或は物語の詞つゞきを、やがてそのまゝによみなどして、歌のやうにもあらぬがおほきを、きく人はたえわきまへで、めづらか也とめではやしあふめるは、かへす/゛\もかたはらいたし、