国語史資料の連関

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2007-04-11

[]「僕が面白うない」(二葉亭四迷「平凡」三十) 「僕が面白うない」(二葉亭四迷「平凡」三十) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 「僕が面白うない」(二葉亭四迷「平凡」三十) - 国語史資料の連関 「僕が面白うない」(二葉亭四迷「平凡」三十) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント


「そ、そ、その僕が面白うない。君僕というのは同輩或は同輩以下に対(むこ)うて言う言葉で、尊長者に対(むこ)うて言うべき言葉でない、そんな事も注意して、僕といわずに私(わたくし)というて貰わんとな……」

「は……不知(つい)気が附きませんで……」

「それから、も一つ言うて置きたいのは我々の呼方じゃ。もう君の年配では伯父さん伯母さんでは可笑(おか)しい。これは東京の習慣通り、矢張私(わし)の事は先生と言うたら好かろう。先生、此方(このかた)が御面会を願われます、先生、お使に行って参りましょう――一向可笑(おか)しゅうない。先生というて貰おう。」

「は、承知しました。」

「で、私(わし)を先生という日になると、勢い家内の事は奥さんと言わんと権衡(けんこう)が取れん。先生に対する奥さんじゃ。な、私(わし)が先生、家内が奥さん、――宜しいか?」http://www.aozora.gr.jp/cards/000006/files/3310_8291.html



飛田良文現代日本語の形成」(『新日本語講座4日本語の歴史汐文社

飛田良文東京語成立史の研究』p197