国語史資料の連関

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2007-04-12

[]福沢諭吉「旧藩情」 福沢諭吉「旧藩情」 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 福沢諭吉「旧藩情」 - 国語史資料の連関 福沢諭吉「旧藩情」 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント


上士の風は正雅せいがにして迂闊うかつ下士の風は俚賤りせんにして活溌かっぱつなる者というべし。その風俗をことにするの証は、言語のなまりまでも相同じからざるものあり。今、旧中津藩地士農商の言語なまりの一、二を示すこと左のごとし。

  上士 下士
見て呉れよと
いうことを
みちくれい みちくりい みてくりい みちぇくりい
行けよという
ことを
いきなさい いきなはい
又いきない
下士に同じ 下士に同じ
又いきなはりい
如何いかがせんかと
いうことを
どをしよをか どをしゆうか どげいしゆうか
又どをしゆうか
商に同じ

 このほか、筆にもしるしがたき語風の異同枚挙まいきょいとまあらず。故に隔壁かくへきにても人の対話を聞けば、その上士たり、下士たり、商たり、農たるの区別はあきらかに知るべし。(風俗を異にす)http://www.aozora.gr.jp/cards/000296/files/45664_24680.html



飛田良文「英米人の習得した江戸語の性格」国語学108

飛田良文現代日本語の形成」(『新日本語講座日本語の歴史汐文社

飛田良文近代語彙の概説」(講座日本語の語彙6)

飛田良文『東京語成立史の研究』

水原明人『江戸語・東京語・標準語』講談社現代新書 1994.8

安田敏朗『「国語」の近代史』中公新書1875