2007-04-12
■ [位相]福沢諭吉「旧藩情」
上士の風は
正雅 にして迂闊 、下士の風は俚賤 にして活溌 なる者というべし。その風俗を異 にするの証は、言語のなまりまでも相同じからざるものあり。今、旧中津藩地士農商の言語なまりの一、二を示すこと左のごとし。
上士 下士 商 農 見て呉れよと
いうことをみちくれい みちくりい みてくりい みちぇくりい 行けよという
ことをいきなさい いきなはい
又いきない下士に同じ 下士に同じ
又いきなはりい如何 せんかと
いうことをどをしよをか どをしゆうか どげいしゆうか
又どをしゆうか商に同じ この
外 、筆にも記 しがたき語風の異同は枚挙 に遑 あらず。故に隔壁 にても人の対話を聞けば、その上士たり、下士たり、商たり、農たるの区別は明 に知るべし。(風俗を異にす)http://www.aozora.gr.jp/cards/000296/files/45664_24680.html
飛田良文「現代日本語の形成」(『新日本語講座4日本語の歴史』汐文社)