国語史資料の連関

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2006-04-07

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桜楓社 昭和53.10.20初版発行 171頁「文学全集の今昔」(サンケイ新聞、昭和53.8.30初出)

 明治初年の義務教育制は、国民文化を標準化の方向で引きあげる方策であったが、現代文学全集の大量出版は、それを一応の仕上げに持ってゆく役割を果す結果となった。江戸時代、東北と西南の武士が会ったとき、方言では話が通じないので、謡曲の詞章を共通語に用いたという。明治以後の文士たちは、用語と文脈の国民的共通性を小説のかたちで作りあげ、その成果を文学全集が、見事に広く普及させたのである。