国語史資料の連関

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2005-03-18

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書史会要《しよしくわいえう》にいはく、日本国於2宋景徳三年1。嘗有v僧入貢。不v通2華言1。善2筆札1。命以牘対、名寂昭。彼国自国字母僅四十七。能通識之便可v解2音義1。この景徳と云ふは、外戎の宋《そう》の真宗《しんそう》が年号にて、一条天皇《いちでうてんわう》の寛弘三年にあたれり。そのかみは小児の手習の初めには、難波津《なにはづ》、浅香山《あさかやま》の二首の歌を手本としたるよしは、古今集序《こぎんしふじよ》にも、源氏物語にもありて、人のしる所なれど、二首にて六十余字ありて、同字数多あるうへに、五十|韻《いん》にもれたるもあまたあれば、後に色は匂へど云々の今様《いまやう》めきたる長歌《ながうた》が、同字なければ、いつとなく、是を手習の始にはせしなるべし。いうえの三字なけれど、同字一わたりある故に略《はぶ》きたるなり。又、五七言のしらべをとゝのへん為にもあるべし。三句目|一言《いちごん》たらねども、こはやむことを得ざるなり。その字体も、いと略《はぶ》き過《すぎ》たるなれば、異様にみゆれど、楷書の草手《さうしゆ》の略なれば、こと物にあらず。楷書の略なる事は、外戎人の目には、よくみゆべきを、日本の国字《こくじ》といひしは、いぶかしき事なり。