国語史資料の連関

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2005-03-17

[]重言《かさねことば》の略《はぶき》ぶり(斎藤彦麻呂傍廂』) 17:01 重言《かさねことば》の略《はぶき》ぶり(斎藤彦麻呂『傍廂』) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 重言《かさねことば》の略《はぶき》ぶり(斎藤彦麻呂『傍廂』) - 国語史資料の連関 重言《かさねことば》の略《はぶき》ぶり(斎藤彦麻呂『傍廂』) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

師翁の玉勝間《たまかつま》に、古今集の「月夜《つきよ》よし夜よしと人に告《つげ》やらば云々とあるは、月夜よし月夜よしとかさねて謡ふべきを、五七|言《こん》のしらべにとゝのへんとて、略《はぶ》きてかくは謡《うた》ひしなり。催馬楽《さいばら》の「あづまやのまやのあまりの雨そゝぎ云々も、あづまやのあづまやのとかさねて謡ふべきを、是も五七言にとゝのへて、かく略きたるなり。和名抄《わみやうせう》に、四阿《アヅマヤ》と雨下《マヤ》とわけて挙《あげ》られつれど、この歌は、それとは異なるよしいはれしを、石原正明《いしはらまさあきら》が随筆に、月夜よし夜よしは、月もよし、夜もよしといふ義にて、あづまやのまやも、その如く、東屋《あづまや》の軒《のき》にも立ちぬれ、まやの軒にも立ちぬれて、しどけなきが謡《うたひ》の本色《ほんしき》なりといひしは、歌の本意《ほんい》をよくも弁へざる故なるべし。清少納言集《せいせうなごんしふ》に、

  わするなよなよといひしはくれ竹のふしをへだつる数にぞ有《あり》ける

とよみしも、忘るなよ、わするなよ、とかさねていふべきを、五七|言《ごん》にとゝのへんとて、略《はぶ》きてわするなよなよとよみしなり。外になよといふ物なし。