国語史資料の連関

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2004-06-05

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 (二)ゾンダフ 文久三?年版『横浜奇談?』に、「彼の国には、ゾンダフといふ事あり。此ゾンといふは、洋語の天なり、ダフとは、幾日/\といふ日の事なり。我国の七曜の中、日曜日なり、八日め/\に当る」、「ゾンダフには、参詣と覚しく、異人等集りて、我国の説法法談やらの事を聴聞いたすと也、又ゾンダフの休日に、異人男女集合遊行して、音曲を催し、或は鉄砲を揃へて、足並を調練なす」。これ、横浜なる在留外人の日曜日風景なり。

 元治元年、横浜沖軍艦内に雇はれし者の日記に、「毎月三度ドンタク、是は横浜言葉也、英語ソンデエ八日め也」とあり、八日めといひ、毎月三度といふ、正しくはなけれども、当時の記録のままを出す。

 現今府下の婦人小児は、土曜日を半ドンといふ。これ、日曜休日をドンタクといひ、土曜日は半日休なればなり。そもそもドンタクとは、もと、和蘭語のZun Dag(日曜日または休日の義)より出でし語と聞けば、休日をドンタクといふは、開港地の用語の、やうやく広まりしにやあらん。『見聞誌』に

此日をドンタクと云て休日なれば、異人男女つどひ集て、……今日どんたくにて踊るとのみ答ゆ……元来このどんたくは、月初め八日大どんたくとす。今は四日めに大どんたくあり、是によりて大どんたくとては無しといふ。

など、ドンタクの語各所に見ゆ。

明六』三十三号(明治八年三月刊)に、柏原氏の日曜日の説あり、「維新の後一異様の日を出現し来れり、其名称未だ一定せず、曇濁といひ、損徳といひ、又呑泥と云ふ。皆西音?の転訛にして日曜日の義なり、此日縉紳先生より青年書生に至るまで、訪柳尋花の期となせり云々」と。

安愚楽鍋』二巻の下に、「書生さんは一六のドンタクに、五人一座」とあるは、ただ休日の意なり。またゾンダフをソンデイと気取りし者もあり。

    ソンデイ  吹よせ

  明日か/\と待つソンデイが過ぎりや尚更ます思ひ

    日曜日   山東直砥

  十字街頭花雨晴、繊塵不v動旭光明、春風天主堂前路、鈞楽高伝礼拝声。