国語史資料の連関

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2004-05-16

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 自由は古来通用の熟字なり。『心地観経』に、「常に乞食を行じ、以て活命し、出入自由にして他に属せず」と見えたり。

 安政四年、米人ブリツヂメンが上海にて著はせし『聯邦志略』にFreedomまたはLibertyの訳語として自主自由の二字を用ひたり。

 慶応二年版『西洋事情』巻一に、「自主自由任意、この三字英語に之をフリードム又はリベルチといふ、未だ適当の訳字あらず」と、自由の新字のもとを述べ、また二編の一にも、「米人独立戦争の時、我に自由を与ふるか否ざれば死を与へよ」の例をあげて、自由の字を註解せり。また明治五壬申年二月、中村敬太郎(後の正直敬宇)、英国ジヨン・スチユアト・ミルのLIBERTY を訳述して「自由之理」と題し、六本を出せり、維新後おほいに闔国に行はれたる自主自由の語源を見るべし。

  屁をひツて自主の権だと下女ぬかし  十二年 藪唐坊

大正版

p18