国語史資料の連関

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2004-02-15

年々随筆[二]〕 〔年々随筆[二]〕 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 〔年々随筆[二]〕 - 国語史資料の連関 〔年々随筆[二]〕 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

字音によみつくるスルセンなどの類、あるひは清、あるひは濁は、平上去によれり。そはもじの平上去にはあらで、よみざまの上り去りなり。去声は、いひ初る時つよくて、やう/\さがり行声なる故、発語の勢開口のところに尽て、よみつくるもじまでに及ばねぱ、語のまゝにすまるゝなり。上声はゝじめ柔にて、漸につよく上る声なる故、発語の勢、よみつくるもじまで残りて、その勢にひかれて濁らるゝなり。使 童蒙、弁 陰陽。この二ッをいひ試て、発語の軽重をしるべきなり。平声のは、もとすゑおなじほどなる中に、いさゝか上声へちかきは、にごるなるべし。此事、字音に限たる事にはあらず。よろづの詞みな此定なり。たとへば辛苦なる事をからくしてといへば、からの二もじ、去声なるゆゑ、発語の勢こゝに尽て、しもじは語のまゝにすまるゝを、言便にからうじてといへば、かもじ柔軟にて、らもじうもじ、やう/\にあがりゆく故、発語の勢、しもじに及びて、それにひかれて濁らるゝなりし幾度もいひ試れば、をしへを待ずしてよくしらるゝ事ぞ。

古事類苑・文学部二音韻四声