国語史資料の連関

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2002-07-20

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また反語とは。かな返しなり。見ゆを目《メ》とレ。きえをケとし。やすくきゆるを雪《ユキ》とするの類也といふなり。古語に目をばマといひけり。マといふ語の転じてメといひし如きは。或は方言の同じからぬにもやよりぬらむ。見るといひ。見ゆといふが如きは。マといひメといふ言によりて。いひし所にぞあるべき。もしミといふ語を転じて。目《メ》といひしならむには。耳をよびてミミといふが如きは。またいかにやあるらむ。古語に消ゆるをばケといひけり。ケといふ言葉を緩く呼びし音の。開きてキエとはなりしなり。雪をユキといひいひしは。其色の白きをいひしことば也。詳に雪の注に見えたり。是等の語も。並に太古の時より聞えたりけり。其代の比ほひ。切韻の学などいふ事の伝りてや。ヤスの音を反してユとなし。キエの音を反してケとなし。ケの音を転じてキとなし。ユキといふ事のあるべきにもあらず。是等の説の如き。其世を論ずる事にも及ばず。後代の事をもて。太古の事を説きぬるが致す所とこそ見えたれ。