国語史資料の連関

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2002-07-01

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爾雅の書 始に釈詁 釈言 釈訓あり 東方上世の言 本朝の正史にみえし所のものは 先儒の訓釈すでに備れり 後代の歌詞文辞の如きも 諸家の注解またすくなからず 此書の編は要とするところ 物名を釈するにあれば 倭名類聚紗に見えし所に拠りて 天地より始めて 蟲魚の類に至るまで 其名の釈すベきを釈す 義既に闕けて 解すぺからざるものと 釈を待ずして義自ら明かなる者の如きは 収載することを必とぜず


凡 弁証本朝の正史実記をもて本とし 其余は先達の訓釈に拠る 野語 小説の如きも相参て証発すべきものをば必らずその出所を分註す。


凡 物名旧釈せし所の説あらざると旧釈の如きも 疑ふべき所あるをぱ 並に義不v詳といふ 其中 他の義例に拠りて 此訓釈となすべきあるは 其義を参註す 或は其説のいまだ尽きざる 或は附註すべきあるをば 其下に分註す


古今の言 義趣同じからず 物に名づくる事も亦然り されば古より聞えし物の如きは 其事を併せ録す 其世を観つべぎための故也。


凡 物の名此名によりて彼名あるあり 其義の相係れるものは併せ録して各物を分出さず


古言の雅なる後の俗言となり 古言の俗なる 後の雅言となれるあり 物名亦然り 此書の作 言近くして 正を取るべきを主とす 凡 俗間に呼ぶ所の名の如きは 其説を尽さず。


鳥獣草木の類 古今の異言によりて 其物また詳ならざるものあり 此書たゞ其名を釈する事を主とす 其物を弁ずる事を必とせず。


此書の作 丁酉の夏にあり 時に海上に寓して 与に語るぺきなし 旧聞を綴集し筆に随ひて編を成す 客間たゞ一篋の書あるのみにして 校訂に便りすべきものなし 秋後居を北郭門外に卜するに至りて 詳該を加ふるに及ぱず 明年の夏病榻暇あり 其書せし所を顧るに 耄言紛謬援失v拠すくなからず 業巳に志倦気疲れぬ たゞその太甚なるものを刪去きて 後者の改定を俟つ



「古言の雅なる後の俗言となり 古言の俗なる 後の雅言となれるあり」和訓栞2

「此書の作——」永山勇p3。室鳩巣序の「是歳春……」と。