国語史資料の連関

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2002-07-02

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天下之言には古言あり今言あり。其古今之間に於て。又其方言あり。方言の中に亦各雅言あり俗言あり。古言とは太古より近古に至るまで。其世々の人のいひし所の語言なり。今言とは近世の人いふ所の語言なり。たゞ今五方の人の語言。各同じからざる所あるのみにはあらず。古の時といへども。亦各其世にありて。五方の語言同じからざりし。猶今の如し。古もまた中土東南西北の人の如き其人には雅なるあり俗なるあり。大やうはよき人のいふ所は雅言あり。賤きがいふ所は俗言にあらざるものすくなし。それが中古言の猶遺れる。今の人のいふ所にはあらねど。其語の解すべきあり。解すべからざるものあり。また今の人の云ふ所の。もとこれ古言に出し。其解釈を得ざれば。義明らかなるべからざるもすくなからず。爾雅の書に釈詁釈言などいふあるは。古言今言其異あるを解きて。人をして知らしむるを釈詁といひ。古今之間。四方之言の。能く通ずる事なきを解きて。人をして知らしむるを釈言といふ。千載の下に生れて。千載の上に通じ。一方之内にありて。四方の外に達しなむ。難からざる事ともいふべからず。


古事類苑』人部十一「言語

参考文献

「たゞ今五方の——俗言にあらざるものすくなし。」永山勇12

爾雅の書——釈言といふ。」永山勇10