国語史資料の連関

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2002-01-07

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古今集の序にやまと歌ハ人のこゝろをたねとしてよろつのことのはとそなれりけると書出して一集の大體をのへ和歌の本意を盡せり 種といひ葉といふは皆たとひ也 人の心物に感せさるほとは草木の種の土の中に在る如し 既に感するにいたりて見るもの聞ものにつけてさま/\にいひ出せるは草木の雨露のめくみにあひ もえ出て柯葉の分れたるか如し おほよそ言外にあらはれて後心のほともよく知られて逃るゝ所なしといへり 古より言の字をことゝよみ詞の字をことばとよみ又ことのはともいひならはせしは葉のたとひをそへていへることいよ/\いちしるし よて和歌を指て直に言葉といひしも多かり 言の葉の道 言の葉風 詞の花 詞の林 なと是也 我邦言の葉の靈妙なる天地自然の理なるをもて萬葉集にも言|霊《タマ》のさきはふ國とも事靈のたすくる國ともいふあり 言と事と相まちて用をなすをもて同しくことゝいひ その心のたねのいつはりなく言にいで事にあらはるゝをもてまことゝはいふなり まことは眞言也眞事也 よて日本紀には言語を直にまことゝよめり 文字を製する人も誠信等の字多くは言に從へるも思ひ合すへし されは古人も歌道を評して天地ひらけしよりの神道なれは文華をかさりてもまことなくはいたつら事也といへり