1910-06-04
■ [方言意識史]「ズウ弁とオイドンの喧嘩」(小川煙村『勤王芸者』)
其頃可笑しかったは会津と薩摩の侍が喧嘩するのでありあす、ズウ弁とオイドンの喧嘩ですから傍に聞いてゐても解らない、恐らく御当人でも向ふのいふ事はよく解るまい、
会津の侍は鼻にかゝるからよく冗談をしたものですって「今日は寒いね、スエにヅキが降った」之れは比叡に雪が降ったといふ事です、すると芸妓共が、
「スエのヅキってありゃしませんよ、比叡に雪でせう、も一度云って御覧なさい」
「スエのヅキだろ」
「スエのヅキだって、比叡の雪です」
「ヅウヘイなことを申すな」http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/886104/120