国語史資料の連関

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2012-03-31

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兵隊はみんな日本語の普及に苦心しているが、ラバウルは、我軍の占領前は英濠の治下にあったものだから、原住民の間には多少の英語が通じるので兵隊はそこを要領よく、

「おーいボーイ、ウォーターだ」と呼ぶと、

「ハーイ、水汲むか」と双方の言葉を交換するところまで実績を挙げている。

 年配の下士官あたりになると、

「おういナンバーワン、アイカム……快々的《カイカイデ》」などと、つい支那仕込みが出てくる。

「なかなか旨いですな」と冷やかすと、

「いやどうも言葉が判らなくて困りますわい」とテレる。

 ナンバーワンは原住民には相当広く流用出来て、上等だとか、旨いとか、大将旦那にまで通じるので、ナンバーワンと呼ぶのは、おだてた意味でもある。

1943年原刊。中公文庫による。