2007-06-07
■ [言語生活史][人名]「名のもじの反切」(本居宣長『玉勝間』)
14「今の世人の名の事」
近き世の人の名には、名に似つかはしからぬ字をつくこと多し、又すべて名の訓は、よのつねならぬがおほきうちに、近きころの名には、ことにあやしき字、あやしき訓有て、いかにともよみがたきぞ多く見ゆる、すべて名は、いかにもやすらかなるもじの、訓のよくしられたるこそよけれ、これに名といふは、いはゆる名乗実名也、某右衛門某兵衛のたぐひの名のことにあらず、さてまた其人の性といふ物にあはせて、名をつくるは、いふにもたらぬ、愚なるならひ也、すべて人に、火性水性など、性といふことは、さらなきことなり、
又名のもじの反切といふことをえらぶもいと愚也、反切といふものは、たゞ字の音をさとさむ料にこそあれ、いかでかは人の名、これにあづからむ
韻鏡による姓名判断。
佐藤稔『読みにくい名前はなぜ増えたか』ISBN:464205636X吉川弘文館p144-5に全文引用。p81では言及。