2007-04-07
■ [言語意識史]太宰治「新ハムレット」
オフ。「すまいとばし思うて?」
レヤ。「なんだい、それあ。へんな言葉だ。いやになるね。」
オフ。「だって、坪内さまが、――」
レヤ。「ああ、そうか。坪内さんも、東洋一の大学者だが、少し言葉に凝り過ぎる。すまいとばし思うて? とは、ひどいなあ。媚《こ》びてるよ。http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1576_8585.html
「はしがき」に
なお、作中第二節に、ちょっと坪内博士の訳文を、からかっているような数行があるけれども、作者は軽い気持で書いたのだから、博士のお弟子《でし》も怒ってはいけない。このたび、坪内博士訳の「ハムレット」を通読して、沙翁の「ハムレット」のような芝居は、やはり博士のように大時代な、歌舞伎《かぶき》調で飜訳《ほんやく》せざるを得ないのではないかという気もしているのである。