2004-07-01
■ [国語問題]前島密「漢字御廃止之議」
「漢字御廃止之儀」(梅雨空文庫)
【参考文献】
- 山本正秀(1968) 「漢字御廃止之議」の「議」について 『解釈』158(『言文一致の歴史論考』桜楓社)
- 山本正秀編『近代文体形成史料集成 発生編』
- 土岐善麿『国語と国字問題』(昭和22.9.20 春秋社)p27
「國家の大本は~御廢止相成候樣にと奉存候」「教育に漢字を用ひるときは~稀少の割合に相成候」「世界無量の事物を解釋書寫するに何の故障も之れ無く誠に簡易を極むべき」「實に痛歎の至に御座候」「今日本に來りてみるに~麻痺せるなり」「文典を制し辭書を編し句法語格接文の則」
国家の大本は国民の教育にして、其教育は士民を論ぜず国民に普からしめ、之を普ねからしめんには成る可く簡易なる文字文章を用ひざる可らず、其深邃高尚なる百科の学に於けるも、其文字を知り得て其事を知る如き難渋迂遠なる教授法を取らず、渾て学とは其事理を解和するに在りとせざる可らずと奉存候。
[……]
国文を定め文典を制するに於ても、必ず古文に復し「ハペル」「ケル」「カナ」を用ふる儀には無御座、今日普通の「ツカマツル」「ゴザル」の言語を用ひ、之に一定の法則を置くとの謂に御座候。言語は時代に就て変転するは中外皆然るかと奉存候。但、口舌にすれば談話となり、筆書にすれば文章となり、口談筆記の両般の趣を異にせざる様には仕度事に奉存候。
国家の大体は国民の教育にして、其教育は士民を論ぜず国民に普からしめ、之を普ねからしめんには成る可く簡易なる文字文章を用ひざる可らず、其深邃高尚なる百科の学に於けるも、其文字を知り得て後に其事を知る如き難渋迂遠なる教授法を取らず、渾て学とは其事理を解和するに在りとせざる可らずと奉存候
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国文を定め文典を制するに於ても、必ず古文に復し「ハペル」「ケルカナ」を用ふる儀には無御座、今日普通の「ツカマツル」「ゴザル」の言語を用ひ、之に一定の法則を置くとの謂ひに御座候、言語は時代に就て変転するは中外皆然るかと奉存候、但口舌にすれば談話となり、筆書にすれば文章となり、口談筆記の両般の趣を異にせざる様には仕度事に奉存候
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