国語史資料の連関

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2004-02-12

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九弄之事御會得被成かたく候由御尋之趣承候。元来九弄といへる者は初学之徒強而不学候而も苦しかるましき事に候然りといへとも韻学者は是を知らされは恥辱と存し候カ前人これに注釋を加へ置れ候けれとも分明に知れかたき事もこれあり候今又御尋ねに任せ愚按之趣書記し候李唐之代神コウといへる沙門九弄反紐図を製作せられ候然るに後人是を玉篇巻末に載せ候旨張鱗之か韻鏡序に見え候今の世之本は玉篇巻首に書載せ候往昔は注解希なりしを寛永年中自等庵法橋宥朔なる者韻鏡開奩を作り其第六巻に九弄を委曲に注解せられ大低は是にて相知れ候然れとも此人も得と合點無之所々は無理なる注解相見え候就中華音をしらさる故に九弄紐字に錯雑せる事を只書寫之誤とのみ注せられ候又五箇之圓圖も會得無之故方圖に作りかへて釋せられて候重道と申事一切會得無之故是を省きさり改て逆反と申事を加へ置れ候は狼藉なる事に候其後九弄を学ぶともから三四家の紛紜たる説世上に行はるゝといへとも九弄を釋する事こと/\く開奩之指南に随へるなり近年沙門盛典之作せる九弄和解二巻殊の外委細に注釋せられ候是も大旨は開奩之模範を用ひ其上自己之料見を加へ十紐をば十二紐有之由記され候到反といへる事會得せられす又九弄を作り改し所に傍紐はもと助紐字なる事を知られぬ事と相見え謬り多く候其上雙聲疊韻之字義をさへ辨へしられぬ事にて是も指南に成かたく候个様に諸家の手に落候得共九弄は根本何之為に作為せられ又何とて方圓なると云事なと論説せられ又五箇之圓圖はいか成旨趣ありて圓なるといふ事會得せられし人は曽而無之候此等に工夫を下し発明致し候はては九弄練磨とは申かたく候

(古事類苑・文学部二音韻・九弄)