国語史資料の連関

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2002-06-17

[]和訓栞大綱(156) 和訓栞大綱(156) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 和訓栞大綱(156) - 国語史資料の連関 和訓栞大綱(156) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

打聞集に問 唐音漢音なりや 唐音漢音其異ありや 答 實は二ツ也 今世人倭音によりて呉音の外は漢音と覺えり 凡そ呉漢唐宋の四音の異あり 白色二字の如き呉音にハ[ひやくしき]といぴ唐音には[はきせき]といひ漢音には[はくしよく]といひ宋音には[はせ]といふ。阿彌陀三字の如きは呉音には[あみだ]といひ漢音唐音には[あびた]といひ宋音には[おびと]といふ 諸の字此に准へて知へきよし見えたり 此集は仁和寺の経藏にあり 書體を詳にするに藤原清輔の作なるへしといへり 和尚を天台には[くわしやう]とよみ眞言には[わしやう]とよみ禪家には[をしやう]と唱へ律宗には[わじやう]と唱ふるも右の訣ある故にや 漳州音には今[へいしゆん]と呼りとそ 又達磨を東寺には[たらま]とよみ山門には[だるま]といふ漢音ならは[だつま]とこそいふへけれ[たらま]とも[たるま]ともよむ事は梵語の習ひありて實には東寺の傳も[だらま]といふへきを此國にてはきゝよからぬ故に清てよみ來れるは故實成へしともいへり 今に至りては明より清を経て世も移り北京南京大に異にして我に近き福州漳州の音も雑れは其唐音と稱するもとより一定すヘきにあらすかし

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