1693-03-09
■ 和字正濫鈔 巻五
何ろふといふ言の類
炎 萬葉 かけろふ
蜻蛉 かけろふ
右は「衰おとろふ」「拾ひろふ」なといふに。「拂はらふ」「捕とらふ」なといふ。〈まがひ〉をわきまへむためなり。「おとろへ」、「ひろひ」、「はらひ」、「とらへ」などうごかす時。「おとらへ」、「はろひ」等といはれぬにてわきまへ知らるゝなり。今出せるは躰にて動かねは。かねて覺え置へし、凡〈ふもじ〉下にある時。上の音便まがふ事おほし。「いふ」と「ゆふ」。「はふ」と「ほふ」。「とふ」と「たふ」。「かふ」と「こふ」。「よふ」と「やふ」。「そふ」と「さふ」。「なふ」と「のふ」。「おふ」と「あふ」。「まふ」と「もふ」。これらなり。皆うこかして知へし。