国語史資料の連関

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2011-11-05

詩学第五則(授業編) 詩学第五則(授業編) - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 詩学第五則(授業編) - 国語史資料の連関 詩学第五則(授業編) - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

詩をも作らんと思はゞ。預め詩集。詩話をも読て。其義をも講求すべしと。余既に第二則に書おけるを、初学の徒是を見ば、これは所謂挽て発たざる説にて、其詩集、詩話は、何を読てよきにや。詩集詩話も多ければ、読てよき書目を挙ざれば、初学の適従する所なしと云ふべし。因て此に其事を論じ及ぶ。

〇林周父が詩則に。書品と云ふ名目あり。其説を見れば。文選唐詩品彙。唐詩正聲。唐詩選。明七才子集。唐後詩を。最上の精選とし。明詩正聲。明詩選を。上に次ぐ選とし。唐にて。李杜の全集。王維。王昌齢。孟浩然。高適。岑参の集。明にて。李夢陽。何景明。李滄溟が集。弇州四部稿。謝茂榛。徐中行。呉国倫。梁有誉。宗子相が集を。日夜枕藉すべき詩集とし。詩話には。文心雕龍。詩品。三家詩話。芸苑巵言。詩叢を以て。同じく朝夕もてあそぶべき書と云ひ。文苑英華。事文類聚。古唐詩帰。唐詩鼓吹。三体詩古文前後集。円機活法は。よしあしの雑りたる書と云ひ。律髓。聯珠詩格。東坡集。山谷集。袁中郎詩集。錦繍段は大に正調を害す。読ずして可なりと。

そればかりにては詩材に乏しくは唐詩の和板にあるものにて王維集の如きもあり。其他何れに家にもあるへき明詩選明詩正聲七才子詩集絶句解の類ひ、吾邦の人の詩集にても詩体やすらかに俗に行義のよきといふ詩は見合せ採用するも害なし。なをも初學の手引に數々多き詩筌詩礎の類、故事を求めんには円機活法、五車韻瑞などこれらをとりまわして先詩を作りならぶべし

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