2007-06-29
■ [音韻]開合(『林永喜仮名遣書』)
此わかち、むかしはさたなく候を、定家卿より此かたあらためらるゝよしうけたまはり候、しかれども、かきうつしのあやまりにや、定家のかなづかひにもたがひめおほく御座侯、此い、ゐ、へ、ゑ、を、お、などはすこしたがひても、御じやうらうしうなどはくるしからざる事にて御座侯、ただ口のひらくかな、すはるかな、あそばしちがひ候は、わろき事にて侯。くちのひらくじ、すはるじ、おほかたさだまりたる事にて候、くちのひらくじは、ただ十御座候、あかさたなはまやらわ、此十の字ばかりひらくとおほしめし候へば、のこりはみなすはりて能御座候、たとへば、あう、かう、さう、たう、なう、はう、まう、やう、らう、わう、此たぐひはいつれもひらき候。
『國語學書目解題』