2005-10-31
■ [方言集]『福井県方言集』昭和六年 3
ナーモ|何も|「ナーモ」は「なんも」の訛|福 吉坂野今丹敦
ナイ|・・・なさい(為なさい)|「ない」は「なさい」の略|足吉坂 敦
ナウ|縫う|「ナウ」はぬうの訛|足吉坂野今丹 敦
ナガタ|菜庖丁|「ナガタナ」は「なかたな」の略|足 野敦三遠飯
ナガタン|菜庖丁|「ナガタン」は「なかたな」の略|足吉坂野今丹南敦三遠
ナカオリ|半紙|「ナカオリ」は「 中折り」の義|福足吉坂野今丹 敦三
ナキミソ|よく泣く者。泣虫|「ナキミソ」は「泣味噌」、味噌は賤めいふことになる。|福足吉坂今丹南敦三遠飯
ナサナ|まずい|「ナサナ」は「為さない」の略か
ナサラシ|少しよい|坂野
ナスタ|なさった|「ナスタ」は「なさつた」が「なすつた」となり更に略されたもの|坂 敦
ナツイモ|馬鈴薯|「ナツイモ」は「夏薯」で、とれる時期が夏だからいふか|吉坂
ナッチョラン|なつていない|「ナッチョラン」は「なつてをらん」の訛|坂
ナノッテ|など言って|「ナノッテ」は「などいつて」の略、訛|福
・・・ナハル(遊ビナハル)|・・・なさる(遊びなさる)|「ナハル」は「なさる」の訛|吉 野今丹 敦 遠
・・・ナブリ(雪ナブリ)|・・・遊び(雪遊び)「なぶり」は「 」で、いじめる意の語|福足吉坂野今丹 敦三遠飯
ナマミ|刺身|「ナマミ」は生身|足 野 敦三
ナンカ|菓子|「ナンカ」は「何か」で、子どもがよく「何か欲しい。何か下さい」といふ所から「何か」は「甘いもの」となり「菓子」となったか|敦三
ナンキン|南瓜。唐茄|「ナンキン」は「唐茄子」の一名、唐と南京とは同様に、支那から渡来したものにつけていふ語だから|福足坂野今丹南敦
ナンジャッテカ|何ですつて。何ですか|「ナンジャッテカ」は「何であつてか」の義「テ」は完了助動詞」、「カ」は疑問の助動詞|福 吉坂野今丹南敦三
ナンセ|どうせ|「ナンセ」は「何せ」で、「何」の字が「なに」とも「どう」とも読むから|吉 丹 敦三
ナンセロ|何しろ。つまり|「ナンセロ」は「何しろ」の訛|坂 丹
ナンタ|非常に。何といふ|「ナンタ」は「何といった」の略|足吉坂野今丹 敦
ナンター|何て。何といふ|「ナンター」は「何といつた」の略、訛|福 坂
ナンチュー|何といふ|「ナンチュー」は「何といふ」の訛|足坂 丹 敦三遠
ナンド|つらら|三遠
ナンド|座敷|「ナンド」は「納戸」で、これを座敷の意に誤用したもの|足坂
ナントモ|有り難う|「ナントノ」は「何とも」で、「何とも御禮の申し様がありません」の略|野
ナンナハン|仏様。ののさま|「ナンナハン」は「ののさま」が「ののさん」となり更に 訛したもの|吉坂野 丹 三
ナンネモナラン|役に立たぬ。何にもならない|「ナンネモナラン」は「何にもならぬ」の訛|足 坂野 丹 敦三
ナンバ|玉蜀黍|「ナンバ」は「南蛮黍」の略|敦三遠飯
ナンバ|唐辛|「ナンバ」は「南蛮辛」の略|吉坂野今丹 敦三遠
ナンヤッテカ|何ですか。何か|「ナンヤツテカ」は「なんぢやつてか」の訛|福足吉坂野今丹 敦三遠
ナンヤラ|えー あの|「ナンヤラ」は「何やら」で、 義したもの|吉坂 丹 三遠
ナンリョー|氷柱 |三遠
ナモチ|長持|「ナモチ」「ながもち」の略|坂
・・・ナラン(居ナラン)|・・・なさらぬ(お出なさらぬ)|「ナラン」ハ「なさらぬ」ガ「なさらん」となり更に略されたもの|福足 坂敦三
・・・ナル(行キナル)|・・・なさる(お行きなさる)|「ナル」は「なさる」の略|福足吉坂野 丹
ナレヘソ|なる程|「ナレヘソ」は「なる程」をやや滑稽味を帯びて「ナルヘソ」と言ひ更にそれが訛ったもの|野 丹 敦三
・・・ナロ(持チナロ)|・・・なさい(お持ちなさい)|「ナロ」は「なさい」が「なさろ」となり更に略されたもの
ニー|兄。兄さん|「ニー」は「兄さん」といふべき所に用いる卑俗語|野
ニエクリカエル|煮えかへる|「ニエクリカエル」は「煮えかえる」に「クリ」を加ヘたもの|足吉 野 丹南三 飯
ニオ|稲村。稲や芝を積んだもの|足 坂野今丹
ニカ|もみ殻。糠|「ニカ」は「ぬか」の訛。もみ殻をいふ所は意義上の誤用|福足吉坂野今丹
ニカン|蜜柑|「ニカン」は「みかん」の訛|足
ニカヤ|二階|「ニカヤ」は「にかい」の訛か、或いは「二階家」の略か|坂 三 遠
ニコミ|猫|「ニコミ」は「ネコメ」の訛、「メ」は卑賤なものを指す接尾語|足吉
ニドイモ|馬鈴薯|「ニドイモ」は「二度薯」で、年に二回収穫得るからいふ|坂 今丹 飯
ニンナラン|関係がない。かまわぬ。おせつかいすな|「ニンナラン」は「荷にならぬ」義の語か|福足吉坂野今丹南敦
ニンニ(小児語)|握飯|「ニンニ」は「にぎりめし」の「に」の音をとっていったもの|敦三遠
・・・ニャ(行カレルンニャ)|・・・である(行かれるのだ)(行かれるのである)「ニャ」は「である」の約語「ぢや」の転|足吉坂野 丹南敦
ニヤカ|にぎやか|「ニヤカ」は「にぎやか」の略」|野今 敦
ニヤキ|を干して束にしたもの|「ニヤキ」は「身欠」の訛|福足吉坂 丹
ニャニャ(小児語)|猫|「ニャニャ」は「猫」のなき声から来る擬声語|足吉坂 今丹南敦三遠飯
・・・ニャモ(思ッタンニャモ)|・・・だもの(思ったんだもの)|「ニヤモ」は「である」から来る、「ぢや」又は「だ」の転に「もの」の略「も」を加えたもの|足 坂 丹
ニワ|土間|「ニワ」は「庭」である、特に「土間」をいふ所が方言である|吉坂野今丹南敦三遠飯
ニュー|稲村。稲や柴を積み上げたもの|吉坂野今丹 敦三
遠飯ヌカス|言ふ、喋る|「ヌカス」は「抜かす」で、言ふ、喋る等に当たる卑俗語|吉 丹南 飯
ヌクタイ|暖い。温い|「ヌクタイ」は「ぬくい」の加音|吉 丹南 飯
ヌクテイ|暖い。温い|「ヌクテイ」は「ぬくい」の加音|丹
ヌクトイ|暖い。温い|「ヌクトイ」は「ぬくい」の加音|福 吉坂野今丹南敦三遠飯
ヌクトイ|阿呆な|「ヌクトイ」は「温い」で「温い」と同じく敏 ならぬものにいふ|野今
ヌシト|盗人|「ヌシト」は「ぬすびと」が「ぬすと」となり更に転化したもの、或は「ぬすむひと」といふ意を「ぬひと」で表し、更に「ひと」を訛って「しと」としたか|足 坂野 丹
ヌスット|盗人|「ヌスット」は「ぬすびと」の訛|福足吉 野今丹南敦三遠飯
ネー|姉|「ネー」は「ねえさん」といふべき所に用ひる卑俗語|足 坂野 敦三敦