2005-01-20
■ [字音資料]〔文会雑記[三上]〕一方以智が
方以智が通雅、随分声にて通ずる事などをば、能くせんぎせり、【○中略】韻鏡は、悉曇の為にこしらへたるもの也、外国の二合三合の音にて、合せて一音とす、たとへば観世音と云ふとき、三字なれ共一字にて済[む]様にする、是外国音切の字也、外国は音切の学盛なる故、中国の清音をば、せまじき事として、韻鏡と云もの出来たり、字音をくはしく吟味する梅誕生などが如き人は、入用の事もあるべし、日本人の韻鏡のせんぎ、誠にをかしき事也、今は名乗字をかへす為の入用に成たるは、俗なる事論にも及ばぬ事也、但二字を一字にするなど、中華にもある事也、盧充幽婚の事に、温休休温の二字をかへして、幽婚になると云事、小説に見えたれば、今の名乗字をかへすに似たる事もある事にはある也と、老師《服部南郭》の説也、
日本随筆大成旧1-7,p640