国語史資料の連関

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2002-07-05

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我国古今の言に相通じなむには。まづ其世を論ずべき事也。旧事紀 古事記 日本紀等の書にみえし太古の語言の如きも。其書撰述の代の人の云ふ所をもて記されしとみえし事もあれど。神名人名また歌詞の如きは。古よりいひ嗣しまゝなる者とぞ見えたる。古を去る事やゝ遠くして。海外の人のゆきかふ事ありしより。此かた夫等の語言。相交はれりと見えし事もありて。韓地の諸国 本朝に服属せし後に及びては。彼土の人等。此に来れるのみにもあちず。彼国に置れし官府をしりて。其政を掌れる 本朝の人々も多かりし程に。これかれの方言相雑らざる事を得べからず。六経の学の相伝はれるより後。百済の博士等。おの/\其学をもて来りつかふまつる。代々に絶ず。秦漢隷楷書體を取用ひ。我国の古文廃せしに至ては。古語の如きも。或は其言廃れ。或は其義隠れて。我東方の語言。大きに変ぜし事の始とこそ見えたれ。

参考文献

上田萬年「言語學者としての新井白石」

「我国古今の言に相通じなむには。まづ其世を論ずべき事也。」永山勇p5