国語史資料の連関

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2002-06-11

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日本紀印本に字の四週に圏點せる者は和語四聲也 されと全備ならす訛謬も又多し 古事記にはそのまゝ上の字去の字なとを句中に注せり 但入聲ハ見えす 又引字を注せるハ梵書に見えて長呼の例也 [はし]と云詞に橋ハ平聲によひ 端ハ上聲によひ 箸ハ去聲によふ也 [たけ]といふ詞に長竹嵩なとのしなあり [いる]と云に入と熬と[くも]と云に雲と蜘との別ありて音の軽重自ら判然たり よて兎裘賦?の自註に龜緒使龜山也 猶如龜尾讀之といひ 和名鈔に簟を上聲之重 菊を俗云本音之重と注せり 凡て早生の口語此類多し されと皆また言に隨て其事を聞識ハ音の妙なるへし 韻学私言に本邦之語猶華域之音今呼[柿]曰[葛幾] 則雙深曰渇起則雙淺惧無高低而平聲也 呼[垣]曰[葛起] 則先深後淺而如上聲 呼[蠣]曰[渇幾]則先淺後深而如去聲又如上下二字各上去兩聲互異其義而與國語 自相符[上]曰[渇彌]下曰[失麼]則上爲去聲下爲上上乃指在高在卑之詞也 [上]曰[遏〓]下曰[沙〓]則上爲上聲下下去去乃升之降降之義也と見えたり


【参考】

岡島昭浩元禄時代に於ける字音M尾N尾の発見——中村惕斎の「韻学私言」——」

『文献探究』(文献探究の会)第18号(昭和61年9月)p.29-36

金田一春彦『国語アクセントの史的研究—原理と方法』(昭和四九年) 239頁

佐藤寛本朝四聲考*国学院国文論纂明治三六年