2002-06-08
■ [和訓栞]和訓栞大綱(147)
○古事記日本紀等の古書多くハ呉音を用られたり されとも明経の徒僧尼の輩に漢音を習ハしめられたること續日本紀以下に見えたり 世に儒典は漢音を用ゐ梵書は呉音を用うといへるハ心得かたし 唯音便によりて唱へ來れる故實あれハ讀書の時ハ漢音を用ゐ談話の時に呉音を用うといふもまた然らす たとへは五音は[ごゐん]ととなへ呉音は[ごおん]と唱ふるは天下の通語也 漢音梵音なとのはぬる字の下にありてハおのつから[のん]となり 舌音七音なとのつまる字の下にありてはおのづから[とん]となるは[おん]の同韻の轉聲也 はぬる字の下にても南音轉音なとの時はおのつから[にん]となり つまる字の下にても八音納音なとの時はおのづから[ちん]となるは[ゐん]の同韻の相通也 されは概して一例をもて断しかたき 是にて辨へ知らるへきにこそ