2002-01-13
■ [和訓栞]和訓栞大綱(13)
○本居氏?の説に古事記は同音の假名の中にも語意によりて常に用る字を分てり おには淤意二字を普く用る中に大《オホ》には意富とのみ書て淤を書例なし 女姫なとのめには賣をのみ書て米を書す 妹のもにハ毛をのみ書て母を書す 神のみには微をのみ書て美を書す 子には古をのみ書て許を書す 木|城《キ》には紀を書 火にハ肥を書 戸にハ斗を書て伎比登なとは書す かゝる類は古人おのつから音の別てるにや 此記のみならす日本紀萬葉集にもまゝ此意旨見えたり 猶廣く考索めて古語を解の助けとすへしといへり
【注】
「古人おのつから音の別てるにや」は、『古事記伝』の、稿本には見えるが、板本に見えないことで有名な部分。
田辺正男『国語学史』(増補版 昭和40年)に「上代特殊仮名遣と鈴屋翁」(「国語研究」16)所収