国語史資料の連関

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1776-01-06

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仮字づかひ、片仮字の[イ]は平仮字の[い]なり。[ヰ]は[ゐ]なり。[エ]は[え][江]なり。[ヱ]は[ゑ]なり。[オ]は[お][於]なり。[ヲ]は[を][越]なり。是は童蒙のために云。

○各音の下に囲中に書するは、其下に挙る諸字の韻也。但し平声の韻を標して、上声去声の字をも其下に摂す。音韻を論ずる処も同じ。是れ四声の差別は仮字づかひに用なき故なり。

仮字のまぎるゝこと無き音の字は挙る事なし。又まぎるゝも悉くは挙がたければ、たゞ日用の近き字のみを出す。餘は同韻の例を以ても推て知(る)べく、又大氐は同傍<おなじつくり>などの例にても違はず、飴<い>恰<い>貽<い>同じく、惟<ゐ>帷<ゐ>唯<ゐ>同じきがごとし。

○漢と云は漢音、呉と云は呉音なり。

清音濁音は一つに雑へて挙ぐ。仮字にまぎれなければ也。仮字のまぎるゝ濁音の字は別に巻末に出せり。

○音を論ずるに、漢土の韻書を引ずして、毎<つね>に御国の古書をのみ引て是を證するゆゑは、此書はもとより音を辨ずる書に非ず、たゞ其仮字を辨ずる書なるが、仮字は全く御国の古書に據<よら>ずはあるべからざるが故也。