国語史資料の連関

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1695-07-07

倭字古今通例全書 倭字古今通例全書 - 国語史資料の連関 を含むブックマーク はてなブックマーク - 倭字古今通例全書 - 国語史資料の連関 倭字古今通例全書 - 国語史資料の連関 のブックマークコメント

仮名文字づかひの書、家々の篋にかくれて世にをこなはれざるはみるによしなし。あづさにのする巻々はたしかなるふみとも見えず、わが稚子のためとてつゝりをきし仮名字例四巻は、まづ簡便に隨ひて事の大概をのせ侍しそのゝち世話の要言をひろひ、やうやくに加倍して集て八冊となりぬ。また此類を拾はゞ浜の真砂の数つくしがたく五の車おもくして、棟に充るたぐひなるべし。唯此八巻、まへのたらざるをたし、後のあまれるをはしみて、大かたほどよきにちかゝらむか、名づけ倭字古今通例といふ。校書は楓葉塵埃にたとへて、したがひてはらへばしたがひて生ずるとなむ。四巻の字例校正をつくさねばしちすつの文字も地をかへ、たしかならざる事も侍りぬ。

いま此書八巻の本もしたがひて生ずるの葉塵をまぬかれがたし。見る人其よきをよしとし、其悪をばあしゝとせば鳥の跡ふみゆきかよふ千々の一のたすけにもなりなむとてかたへの人の蜺望にしたがひて剞劂氏のひろめをゆるし侍るめり。としは

元禄八年の秋ふみ月七日 橘の成員 筆を江府のかたはらにそめぬ